holly1958’s diary

小説の感想とか。読む本がなくなったらどうぞ。

Remember of the レイ・ブラッドベリ

 

レイ・ブラッドベリという世界観

 

ブラッドベリについて書こう!と思ってから数日が経ったが、どうしてももう一度読み返す気がしない。面白くないとか、アホほど長いとかそんなことは全然なくて、むしろ彼の短編は魅力に溢れている。うまく言えないが、僕の中でレイ・ブラッドベリが大きくなりすぎているというのが原因だと思われる。当時と今とでは、きっと見え方が違うだろうから、中学時代の神域を汚したくないとかそんな気持ち。

ブラッドベリは中学時代の僕の宗教(貴志祐介や、御手洗潔もこの部類、いずれ書くかも)だ。タイムスリップ、ディストピア、火星人、地球滅亡!これぞSF、という題材と詩的な散文の融合。彼には結構イかれてたと思ったが、ブログを書くために、本棚見たら冊数はそうなくて驚いた。

 

ブラッドベリの始め方

 

読書指南はあんまり好きではないが、少しばかり書かせていただく。

まずは華氏451度。ディストピア小説好きなら読んだことがあったり、聞いたことがあるのでは?もっとも有名な一冊。

 

ジッパーがボタンに代わり、おかげで人間は服を着るあいだ、ものを考えるたったそれだけの時間もなくしてしまった。

哲学的なひととき、いうなれば憂いのひとときを

引用元:華氏451度:レイ・ブラッドベリ:伊藤典夫

 

小説は有害であるとされ、ほとんどが焼却の対象となった。本を焼く職についている主人公のモンターグは、風変わりな少女、クラリスに会い、少しずつ変わっていく...。

書物のない世界、あらゆる無駄が削ぎ落とされた世界、そんな無機質な世界を鮮やかに飾るのは、炎と詩的な散文だ。

 

ハマってくれたら次は火星年代記を進めたい。火星での事件が時系列中に並んでいる連作短編小説。これまた有名。SF小説が好きならこちらからはいってもいい。SF小説としても充分満足いく本であることは保証するが、それとは別の切ない余韻を残してくれること間違いなし。出来るだけ事前情報は入れずに読んでほしい。

 

そして、その浮遊感が消え去らないうちに、彼の惹かれるタイトルの短編小説集を買う。おすすめは太陽の黄金の林檎。霧笛から始まり、歩行者、鉢の底の果実、人殺し、表題作太陽の黄金の林檎などなど数々の名作が収録されている。

中でも好きなのがぬいとりである。

 

「いま何時」
「五時十分前」
「じゃ、もうここらで切りをつけて、晩ごはんの豆の鞘をむかなきゃ」
「でも――」と一人が言った。
「ああ、そうそう、忘れていたわ。私って馬鹿ね……」

引用元:太陽の黄金の林檎:レイ・ブラッドベリ:小笠原豊樹

 

ああ、この会話の魅力に触れたいが、ネタバレになってしまうのがすごくもどかしい!なぜこんな日常的な会話を、そこまで取り上げるのか気になった方は是非読んでみてくれ。

 

 

いつまでも心に残る名作

好みはあるにしろ、彼の小説はいつまでも残り続ける。厨二病患者には100パーセントの確率で刺さるであろう。レイ・ブラッドベリとともに少年時代を思い出す、素敵ではないか。